ドクターMの回想録

ERシリーズ(その4)

その晩内科に搬入された患者さんもミスターX、住所も名前もわからない(ニャンニャンニャニャーン)。あまりにもその後の印象が強かったので何の病気で搬入されたのかすっかり忘れました。救急隊に酔っぱらい声でわーわー言っていたような記憶がありますので、行き倒れだったのかも知れません(そのような系統の方がワンサカいらっしゃる病院なんです)。

外科当直だった私は隣の処置室で急患の処置をしていましたが、いきなり内科の処置室が騒がしくなったかと思うと医師、看護師が全員こちらの部屋に逃げ込んで来ました。
覗いてみると上半身裸になったミスターXの肌が妙にかすんでボヤケて見えます。目をこすってよく見ると何と皮膚表面にはノミかシラミか何かの節足動物系のイキモノがびっしり取り付いて蠢いているのでした。

あー、外科でなくて良かったあ。内科のお医者さんは困ってしまって半泣きで「ニャンニャンニャニャーン」と良いながら手袋、マスクをしてホースの水をかけて全身を洗うことから始めておりました。合掌。