ドクターMの回想録

ERシリーズ(その5)

いかにERと言えども休息の時もあります。ちょっと季節はずれではありますが、忘年会のお話です。その年の忘年会はもちろん新人の私が会の企画担当で、忙しい中、色々な企画を立てなければならず苦労していました。よくある企画はカラオケ、ビンゴ、わさび寿司のロシアンルーレットなどですが、いっこうに面白くなくマンネリでもありましたので病院の特徴を出すべくいくつかの企画を提案しました。もし可能ならあなたの職場でもやってみてください。結構受けますよ。

1.剃毛早剃り大会

新人看護師が医師の片方の「すね」の毛をカミソリで剃る早さを競います。ばかばかしいですが、新人看護師のかわいさに医師は文句も言わず「すね」を差し出します。もちろん新人看護師のこと、剃毛はうまくないですので、血まみれでつるつるの「すね」で2次会に行くことになります。

2.きき点滴大会

点滴には色々な種類があります。カロリーの高いもの低いもの、カリウムが入っているものいないもの、ナトリウムが多いもの、少ないものなど様々です。このような種類の違う点滴を少しづつお猪口に取り、味わってきき酒ならぬ「きき点滴」をする訳です。点滴の内容(成分)は医師なら頭に入っているはずですので、「ソリタT3」とか「ヴィーンD」とか判定する訳です。

3.マーゲンチューブ早飲み大会

健康状態が悪く、経口で摂取が出来ない方はマーゲンチューブ(Sチューブ)という管を鼻の穴から胃まで通し、流動食を流し込むようにするのですが、このチューブを自分で鼻から入れ早く胃まで到達した人の勝ち。勝敗はチューブから注射器で空気を注入し、聴診器で胃の音を聞いて本当に入っているかで判定。

4.点滴早打ち大会

またもや新人看護師の出番です。点滴するときには点滴瓶にチューブをつけたり針をつけたりチューブの中の空気を抜いたりして点滴セットを作らなければいけません。その上で患者さんの腕にぷすりと針を刺し、滴数を調節するのですが、大会ではヨーイドンでセットを作り、医師の腕に注射し、滴下は全開にして早く点滴が終了したチームの勝ちです。

おバカなことばかりやっていた時代ですが、日頃の昼夜に分かたぬ診療で貯まったストレスをちょっとでも解消させた一夜でした。
ちなみに私自身もマーゲンチューブ早飲みに出場しましたが決勝で敗れ惜しくも2位でした。世の中には鼻の穴のでかいヤツとか喉の反射の弱いヤツとかが結構いるものです。